学校での学び方が変わる!?新学習指導要領とは!?
- 香椎イングリッシュクラブ
- 2020年7月28日
- 読了時間: 7分
更新日:2023年11月14日
①新学習指導要領は小学生は2020年度に導入、中学生は2021年度から導入、高校生は2022年度の入学生から始まります。
②導入理由は「社会の変化に対応し、生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育む」こと。
③主に変わるポイントは「英語」「プログラミング」「アクティブラーニング」。

1.学習指導要領とは?
「学習指導要領」とは、文部科学省が定める教育課程(カリキュラム)の基準のことです。幼稚園から高等学校まで全国どこの学校でも、この基準に基づいて授業をする必要があります。そして、この学習指導要領は社会のニーズや時代の変化に沿って、約10年毎に改訂されています。
2.いつから導入される?
新学習指導要領は、小学校では2020年度、中学校では2021年度、高校では、2022年度の入学した生徒から年次進行で実施される予定です。
3.なぜ新学習指導要領が導入されるのか?
近年、情報化・グローバル化の加速度的進展やテクノロジーの飛躍的な発達により、社会は大きく変化しています。さらに、コロナ禍によってリモートワーク(在宅)などの非接触型の働き方改革によってテクノロジーの進化や必要性が増したとも言われています。これから進化を遂げた人工知能(AI)が様々な意思決定をし、身の回りの物のほとんどがインターネットと結びつき、今までできなかったことが簡単にできる時代が到来すると言われています。そのような予測困難な時代にあっても、子どもたちには、前向きに変化を受け止め、よりよい豊かな未来の創り手になっていくことが期待されています。
子どもたちにとって学校教育とは、社会に羽ばたくための土台作りの場です。「社会の変化に対応し、生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育む」ため、学習指導要領は改訂されました。
4.具体的に何が変わる?
新学習指導要領によって導入される内容は、小学校・中学校・高等学校でそれぞれ違います。それぞれの大まかな内容を以下にまとめて記載していきます。
ーーーー小学校ーーーー
<<英語(外国語)>>
英語(新学習指導要領の表記では「外国語」)が導入されます。3年生から「外国語活動」が始まります。3年生から4年生へと2年をかけて「聞く」「話す」のコミュニケーションを中心に、年間35時間の授業を通じて、英語に慣れ親しんでいきます。5年生からは年間授業時間が、なんと倍の70時間に増えます。
そして英語は、評価が伴い、成績のつく正式な「教科」になります。学習内容としては、小学4年生までの「聞く」・「話す」を基盤としながら、英語の文構造の把握といった「書く」「読む」が加わってきます。
<<プログラミング教育>>
今まで「プログラミング教育」は、各小学校の裁量に任されていましたが、今回の改訂で必修となります。これは、AIの目まぐるしい進化、情報社会の急速な発達に対応するためです。パソコンで文字を入力するなどの情報手段の基本的な操作や、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力の習得を目指します。ただし「プログラミング教育」は、前述した英語とは違って新教科にはせずに、現行の各教科の中で実施されることになっています。詳細は小学校を中心としたプログラミング教育ポータルのサイトに記載されています。
また、2020年12月からプログラミング能力検定が始まり、2025年度の大学入試共通テストから必修となる情報科目としてのプログラミングへの対策試験となることを目指しています。
<<道徳>>
道徳の授業は現在でも行われていますが、正式な教科としては扱われていません。このことが原因で、地域によって取り組みの量や質に差が生じている問題があります。そして昨今、いじめが原因で多くの青少年が自殺に走ってしまうことが社会問題となっています。この2つの問題を解消するために改訂がなされました。
今回の学習指導要領の改訂で、「道徳」は「特別の教科である道徳(=道徳科)」という位置付けになります。それに伴い修正が加えられた新しい教科書が使用されます。しかしながら「道徳」の目的は、物事を多角的に捉え自分自身の道徳的価値を深めていくことにあるので、数値化された評価にはそぐわないとされ、成績評価の対象にはならない予定です。
ーーーー中学校ーーーー
<<プログラミング教育>>
現行の学習指導要領でも「プログラミング教育」はすでに実施されています。具体的には現在「技術・家庭」の学習内容は、「A. 材料と加工の技術」「B. 生物育成の技術」「C. エネルギー変換の技術」「D. 情報に関する技術」の4つに分かれており、そのうち「D. 情報に関する技術」の「プログラムによる計測・制御」という項目で扱っています。
今回の学習指導要領の改訂で、内容「D. 情報に関する技術」に「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」が追加されます。このことによって、学習内容は約2倍になると言われています。
「ソフトウェアをどう使いこなすのか?」のような受動的な学習だけではなく、ネットワークの活用やプログラミングによる問題解決といった能動的な学習を目指しています。
<<英語(外国語)>>
外国語を通じて、他国の文化への理解を深め、「聞く」「話す」「書く」「読む」といったコミュニケーション能力の基礎の養成を目指します。
今回の改訂で、授業時数が各学年で105時間から140時間に増えますが、文法事項等の学習内容はほとんど増加していません。徹底的な「コミュニケーション能力の基礎の育成」の時間が増えるので発音や会話の練習が増えるでしょう。
具体的な内容としては、
1学年:自分の気持ちや身の回りの出来事などの中から簡易な表現を用いたコミュニケーションの育成。 2学年:事実関係を伝えたり、物事について判断したりした内容の中からのコミュニケーションの育成。 3学年:様々な考えや意見などの中からのコミュニケーションの育成。となっています。
ーーーー高校ーーーー
<<プログラミング教育>>
高校では2022年度に共通必履修科目としてプログラミングを含む「情報 Ⅰ」を新設することが決まっています。今後は、2022年度に入学した生徒が受験する2025度の大学入学共通テストを目安に情報科目の導入に向けた検討を進められるといわれています。
大学入試でプログラミングが導入されるようになるのは、2022年に高校入学した学生が大学入試を受験する2025年からです。プログラミングの必要性は日々増しています。
2020年の12月からプログラミング能力検定も開始されました。こちらの検定のメリットは「2025度の大学受験に向けて必要なプログラミング能力を養うことができる。」ことです。
詳しくは➡プログラミング能力検定HPへ
安倍元総理も首相官邸で以下のように述べています。
”小学校、中学校全ての子供たちに、一人一台のタブレットを配布する。もはや、AIを含めたデジタル・リテラシーは、読み書きそろばんと同じ。いや、それ以上かもしれません。デジタル時代の基盤インフラは、通信です。5G、ポスト5G、さらにその先を見据えながら、大胆な税制措置と予算により、イノベーションを力強く後押しする。安全で安心なインフラが、これからも安定的に供給されるよう、グローバルな連携の下、戦略的に取り組んでいきます。”(首相官邸 令和元年12月26日 /
<<主権者教育>>
2016年の6月22日に選挙権年齢が20歳から18歳になりました。また2022年度からは、成人年齢も18歳になる予定です。これらを背景として、公民科に必修科目「公共」が導入されます。前回の学習指導要領においては「公民のうち『現代社会』または『倫理』『政治・経済』のいずれかが必修」となっていましたが、今回の学習指導要領では「公民のうち『公共』は必修」となりました。「現代社会」が廃止され、それを「公共」が取って代わった形です。「公共」での主権者教育を通して、子どもたち自らが主体となって政治を動かし、社会に参画する力を身につけることが目標です。
学習の範囲は「現代社会」と大きくは変わりませんが、その学習の方法は大きく変わってきます。アクティブラーニングを活用した学習方法ですので、具体的には、ペアワークによる対話やグループ単位での調査・発表になると考えられます。
<<消費者教育>>
2022年度に実施される18歳への成人年齢の引き下げは、保護者の同意を得ずに締結した契約を取り消すことができる年齢が20歳から18歳へと変わったことを意味します。
自立した消費者を育成するため、「公共」と「技術家庭科」の授業を通して、消費者契約の重要性、それに付随する消費者の権利行使の仕方など学習します。
もっと詳しく見たい方は「平成29・30年改訂学習指導要領のくわしい内容」のページへ
5.まとめ
今回はこれから始まる新しい教育の「新学習指導要領」について述べました。
これから誰も予想もできないテクノロジー時代に子供たちが柔軟に対応できるよう。
「社会の変化に対応し、生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育む」ことを目標に政府も動いています。主に、「英語」「プログラミング」「アクティブラーニング」が導入され子供たちが自ら考え行動できるような教育方針になる予定です。大学入試も2024年に変わるので前もってその都度、情報を一緒に取り入れていきましょう。
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